Anonymous による NYSE への DDoS 攻撃

日本時間で10/11の早朝、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の Web サイトが DDoS 攻撃を受けました。事前に Anonymous が攻撃予告を行っていましたが、この攻撃は Anonymous の通常の作戦とはやや異なる複雑な経緯をへて行われました。

事の発端は10/2に2つの攻撃予告ビデオが YouTube にアップロードされたこと。この中で10/10に NYSE に対する DDoS 攻撃を行うと Anonymous は予告しました。DDoS 攻撃の予告は Anonymous のよくやる方法で、攻撃の正当性を広く世界にアピールするとともに、攻撃の参加者を募る役目もはたします。

しかし今回の作戦が他と異なるのは、上記の予告が報じられるとすぐに複数の Anonymous から作戦を否定する発言が続いたことです。特に Pastebin への投稿では、法執行機関がしかけた偽の作戦ではないかとの主張までありました。

メディアもこのような混乱した状況を興味深く伝えました。

こうした状況を受け、最初に YouTube のチャンネルに動画をアップロードしてこの作戦を紹介した TheAnonMessage は、間違いを認めて謝罪する内容の動画を数日後にアップしました。

これで事態は収拾するかと思われたのですが、予告前日になると再度攻撃実施を伝えるメッセージ動画が別の Anonymous によって投稿されました。この中で攻撃実施時刻を 10/10 PM 3:30 EDT (日本時間で10/11 AM 4:30)とし、連絡用の IRC サーバとチャネルが指示されていましたが、奇妙なことにこれまでの Anonymous の作戦ではほとんど使われたことがないサーバが使用されていました。

通常とは異なる形で進んだものの、最終的には予告通りの時間に攻撃が実施されたようで、複数のメディアが NYSE の Web サイトに数分から数十分間アクセスしづらくなったと伝えています。

www.nyse.com の DNS 情報を参照すると NYSE は Akamai のサービスを利用しているようです。このため、アクセス元の場所によって攻撃による影響が異なったのではないかと推測されます。いずれにせよ NYSE の業務に影響を及ぼすほどのものではなく、攻撃としては失敗に終わったと考えられます。

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